明治期官公庁建築群の見学を終えた後は、函館旅行のクライマックスである函館山からの夜景鑑賞へ。その前に函館名物のジンギスカンで腹ごしらえし、絶景を堪能した後は夜にライトアップされた歴史建築群を巡る贅沢な時間を過ごしました。最後は地元の老舗寿司店で一日を締めくくる、函館の魅力を存分に味わった充実の夕べとなりました。
夜景前の腹ごしらえ – サクパマタパで本格ジンギスカン体験
函館山に向かう前に、十字街近くの「サクパマタパ」で早めの夕食をいただきました。このお店の最大の魅力は、スタッフの方が丁寧に肉を焼いてくださることで、ジンギスカン初心者でも安心して本格的な味を楽しめる点にあります。
今回注文したのは、極上ジンギスカン、鹿ロース肉、かもロール、イカ山椒の4品。どのお肉も驚くほど臭みがなく、素材の質の良さが際立っていました。特に極上ジンギスカンは、羊肉の概念を覆すような上品な味わいで、柔らかく旨味が凝縮されていて感動的でした。



鹿ロース肉は野生味を感じつつも雑味がなく、ジビエ初挑戦でも美味しくいただけました。かもロールは脂のバランスが絶妙で、口の中でとろける食感が印象的です。イカ山椒は山椒の香りがピリッとアクセントになって箸が進みます。
スタッフの方が最適な焼き加減で調理してくださるので、どの料理も最高の状態で味わうことができ、これは他店にはない大きな魅力でした。店内も落ち着いた雰囲気で、夜景鑑賞前のひとときを優雅に過ごすことができました。
函館山ロープウェイで絶景夜景へ
腹ごしらえを終えて向かったのは函館山ロープウェイ。125人乗りの大型ロープウェイで、山麓駅から山頂まではわずか3分の空中散歩です。函館山からの夜景はミシュランガイドで3つ星を獲得するほどの絶景として知られており、建築散歩の締めくくりにふさわしい壮大なスケール感でした。

「日本三大夜景」として名高い函館山。標高334mから望む景観は、市街を挟み込むように湾曲する海岸線が特徴です。眼下に広がる街並みは、今日一日歩いた教会群や洋館群、官公庁建築が点在する歴史的景観で、昼間見学した建物群が夜の帳に包まれて幻想的な美しさを放っていました。
特に印象的だったのは、函館港を挟んで両側に広がる街の灯りが描く独特のシルエットです。津軽海峡と函館湾という二つの海に囲まれた地形が生み出すこの景観は、世界でも類を見ない美しさといえるでしょう。建築散歩で巡った元町エリアの教会群も、夜景の中で小さな光として確認することができ、昼間の記憶と重ね合わせる楽しみもありました。
夜の建築散歩 – ライトアップされた歴史建築群
函館山から降りた後は、夜にライトアップされた歴史建築群を巡る特別な散策を楽しみました。昼間とは異なる表情を見せる建物たちは、それぞれが持つ建築的魅力を夜の演出によってさらに際立たせていました。
旧日本銀行函館支店(函館市北方民族資料館)
昼間見学した旧日本銀行函館支店の建物を活用した資料館は、夜になると重厚な石造風の外壁がライトアップされ、大正期の銀行建築の威厳ある佇まいがより一層際立っていました。金融機関としての格式を表現した古典主義的な意匠が、夜の照明によって陰影深く浮かび上がる様子は圧巻でした。

旧金森洋物店(市立函館博物館郷土資料館)
1880(明治13)年に建てられた「旧金森洋物店」を改修した資料館。和洋折衷の防火煉瓦造りで、明治時代の函館を今に伝える北海道指定有形文化財です。夜のライトアップでは、煉瓦造の重厚感と和洋折衷の絶妙なバランスが美しく演出され、明治期の商業建築の到達点を示す貴重な遺構としての価値を改めて実感しました。

その他の歴史建築群
ヱビス商会や旧丸井今井呉服店函館支店など、ベイエリア周辺に点在する明治から大正期の商業建築群も、それぞれが夜の照明によって独特の美しさを見せていました。これらの建物群は昼間の建築散歩では詳しく見学できませんでしたが、函館の夜の街並みは、ライトアップされた建物や坂道が、昼間歩いた風景とはひと味違った趣を見せてくれますとの通り、夜ならではの魅力を堪能することができました。


〆は老舗寿司店「福寿し」で
夜景と建築散歩を満喫した後、少し軽めだった夕食の補完として、松風町にある老舗寿司店「福寿し」を訪れました。市電の松風町駅から徒歩1〜2分という好立地にある、創業50年以上を誇る地元に根ざしたお店です。
特上握りのセットを注文しましたが、道南エリアを中心とした地元の海の幸を使用したネタは新鮮で、握りの技術も安定しており、シャリとネタのバランスも良好でした。40席という比較的広い店内にはカウンター席と和室があり、様々なシーンで利用できる雰囲気です。






特別な驚きがあったわけではありませんが、価格帯を考えると妥当な品質で、地元で長年愛され続けている老舗らしい安定感を感じることができました。函館で確実に美味しいお寿司を食べたいという方には安心してお勧めできるお店といえるでしょう。
充実の函館建築散歩一日目終了
教会群から始まり、プレーリーハウス、相馬家住宅、官公庁建築群、そして夜景と夜の建築群まで、函館の多様な建築文化を一日で体験する贅沢な時間となりました。特に印象深かったのは、同一都市の中でこれほど多様な建築様式と時代背景を持つ建物群が共存していることの素晴らしさです。
明治の開港から現代に至るまでの函館の歩みが、建築という形で街に刻まれており、それらを実際に見て触れることで、日本の近代化過程を立体的に理解することができました。
明日は五稜郭周辺の建築群を中心に散策する予定です。箱館戦争の舞台となった歴史的建造物から、近代の官公庁建築まで、また新たな発見が待っていることでしょう。
今回訪れた建造物
旧日本銀行函館支店 〒040-0053 北海道函館市末広町21−7
旧金森洋物店 〒040-0053 北海道函館市末広町19−15
ヱビス商会 〒040-0053 北海道函館市末広町17−11
旧丸井今井呉服店函館支店 〒040-0053 北海道函館市末広町4−19
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