深圳・甘坑客家小鎮で迷い、食べ、そしてまた迷う。DiDiと翻訳アプリを駆使したドタバタ一人旅

アジア

深圳への出張が決まった時、仕事の合間に何か面白い場所に行けないか、というのが最初のミッションでした。北京や上海のような大都市は何度か訪れていますが、深圳は初めて。高層ビルが林立する近代的な都市のイメージが強いですが、せっかくだから少しローカルな雰囲気を味わいたい。そんな想いでGoogleマップを眺めていて、ふと目に留まったのが「甘坑客家小鎮」でした。

「客家小鎮」という響きに、何か懐かしいような、ちょっとした冒険の予感がして、迷わず行き先を決定。しかし、ここで一つの大きな壁が立ちはだかります。そう、私は中国語が全く話せないのです。ニーハオとシェイシェイ、あとはジェスチャーと翻訳アプリ、という心許ない装備で挑むことになりました。

ホテルを出て、まず向かったのが配車アプリ「DiDi」の起動。日本でも使っているUberのような感覚でアプリを立ち上げ、行き先を甘坑客家小鎮に設定。画面には中国語で運転手からのメッセージが届いているようですが、何を言っているのか皆目見当がつきません。仕方なく、翻訳アプリを起動し、写真を撮って翻訳を試みるも、なんだかよくわからない。結局、「OK」と「はい」を適当に連打し、なんとか配車完了。

しばらくして、黒いセダンが目の前に止まりました。運転手さんが「%&$=”#’&%?」と聞いてきますが、もちろんこれも理解不能。とりあえず「甘坑客家小鎮」とGoogleマップを見せると、「哦(オー)」と言って出発。しかし、時々運転中も、「#$%”=~|”$%”?」と話しかけてきますが、すべて中国語。「喋れないのわかってよ!!」と思いながら、中国人の中国語を通す芯に感服。もしかして、「道はこっちでいいか?」とか「渋滞してるけど大丈夫?」とか、そういう親切なことを言ってくれているのかもしれませんが、私にはただのBGM。頷いたり、笑顔を見せたりして、なんとかコミュニケーションを取っている風を装うことしかできませんでした。

到着すると小鎮の入り口には、石造りの門があり、その向こうには古い家屋が軒を連ねています。赤提灯がぶら下がり、どこからか聞こえてくる音楽が、なんともノスタルジックな雰囲気を醸し出していました。これは良い!と写真を撮りまくりながら、気の向くままに歩き始めます。

細い路地を歩いていると、美味しそうな匂いが漂ってきました。屋台がいくつか並んでいて、地元の人たちが賑やかに食事をしています。言葉は通じませんが、指差しとジェスチャーでなんとか注文してみよう!と意を決し、一軒の屋台へ。

最初に目に留まったのは、おもしろい形のパン。いや、パンではないか。なんていうんだろう、揚げ饅頭みたいな、そんな感じの食べ物です。とりあえず指差して「これ!」と伝えると、お店のおばちゃんは笑顔で頷いてくれました。熱々のそれを一口食べると、外はカリカリ、中はモチモチで、ほんのり甘い。これは美味しい!幸先の良いスタートです。

次に挑戦したのは、麺料理。中国語で何と呼ぶのかもわからず、これも指差しで注文。出てきたのは、透明な麺が特徴的なライスヌードルでした。ピリ辛、濃いめのスープで、日本のラーメンとはまた違った味わい。具材は野菜と豚肉で、これもまた素朴ながらも美味しい一品でした。

そして、甘坑客家小鎮を歩いていると、必ずと言っていいほど目にするのが「トウファ」です。豆乳を固めたもので、つるんとした食感と優しい甘さが特徴。温かいものと冷たいものがあり、シロップやタピオカ、フルーツなどをトッピングして食べます。これは食後のデザートにぴったりだ!と、もちろんこれも購入。口の中に入れると、とろけるような滑らかさで、旅の疲れが癒やされるようでした。

美味しいものを食べながら、どんどん奥へと進んでいくと、突然、全く雰囲気が違う場所に出ました。近代的なアートギャラリーや、おしゃれなカフェが立ち並び、まるで別の場所に迷い込んだかのようです。どうやら、甘坑客家小鎮は伝統的なエリアと、新しいアートエリアが融合しているらしい。このギャップも面白い!

しかし、この新しいエリアで、私はまた迷子になりました。地図アプリを見ながら歩いているつもりでしたが、いつの間にか違う道に入ってしまったようです。中国語で道を聞くこともできないので、ひたすら歩き回るしかありません。すると、見慣れたDiDiのアプリのアイコンが目に留まりました。そうだ、DiDiを使えばホテルに帰れるじゃないか!と、再びアプリを起動。

しかし、ここでもまた苦戦。現在地をうまく設定できず、なぜか変な場所を指している。仕方なく、近くにいた若者に「すみません…」と声をかけ、Googleマップを見せながら「ホテルまで行きたいのですが…」とジェスチャーで伝える。すると、その若者は快くDiDiの操作を手伝ってくれました。やはり、困った時は人に聞くのが一番ですね。

結局、DiDiの運転手さんとの謎の会話を楽しみながら、無事にホテルに帰ることができました。中国語が話せなくても、なんとかなるもんだな、というのが正直な感想です。もちろん、通訳アプリや翻訳アプリは必須ですが、それ以上に大切なのは、ジェスチャーと笑顔、そしてちょっとした勇気かもしれません。

深圳の甘坑客家小鎮でのぶらぶら旅は、言葉の壁にぶつかり、道に迷い、それでも美味しいものを食べ、人の優しさに触れた、忘れられない思い出になりました。次はもう少し中国語を勉強して、もっと深く、地元の人々と交流してみたい。そんな気持ちにさせてくれる、最高の旅でした。

今回訪れた建造物(郡)

甘坑客家小鎮 M443+CX6, Tongfu Rd, Longgang, Shenzhen, Guangdong Province, 中国 518111

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